マウントをとるという言葉の意味をあなたはご存知ですか?
もしかしたら、他でもないあなた自身が周りからマウントをとる人だと思われているかもしれません。
マウントをとる人の特徴とその裏にある心理の考察、またいざそんな人に会ったときどう対処したらいいのかをご紹介します。
マウントをとるとはどういうこと?
マウントをとるという言葉の意味をあなたはご存知ですか?もはや知らない人の方が少数派ではないかと思われるほど広まってしまったこの言葉、仮に知らなかったとしてもいざ意味を聞けば、あなたにも一つや二つ思い浮かぶ場面があるかもしれません。
とはいえ、マウントをとる人が自身をマウントをとる人であると自覚しているケースは稀です。つまり、他でもないあなた自身が、周りからマウントをとる人認定されている可能性も充分あり得るのです。 マウントをとる人の特徴と心理、そして私たちはそんな人にどう対処していけばいいのかをご紹介します。
マウントをとるの意味は?
マウントをとるとは、簡単に言えば相手より優位に立とうとすることです。ただし、優位に立ったからといってその先に何かを企んでいるような人はむしろ稀です。
「自分は周りより高みにいるのだ」という感覚に浸れた時点で、大抵は満足します。 もちろんあくまでマウントをとる人基準の物差し次第なので、客観的に見れば十中八九優位には立てていません。
そもそも、本当に実力がある人なら、このような行為には走らないでしょう。そんなことよりももっとやるべきことがあると知っているからです。
マウントをとるの使い方・例文
例1:「定時で帰ろうとしたら、『えっ、君もう帰れるの? いやぁ~俺はまだだなぁ。君と違って色々忙しいから』とマウントをとられた」 マウントをとる人の被害に遭った典型的な例です。仕事が立て込んでいるという事実によって、“君”よりデキる人間であることをアピールしたつもりなのです。
もっとも「忙しい人=デキる人」などという等式は全く成立しないわけですが。 例2:「クラスメイトがテストの点数でマウントをとってきた。しかも、全然勉強してなかったことと、偶々ヤマが当たったことをやたら強調してきた」 ただのマウントに謙虚さを含ませたパターンです。
当人は良かれと思って含ませたのかもしれませんが、返って嫌味さが増しています。ストレートに自慢した方がまだいくらか好印象でしょう。
マウントをとるの語源
マウントをとるの語源は、「登る、乗る」などを意味する英語の「mount」です。一方で格闘技の世界には「マウントポジション」という言葉があり、これは仰向けの相手に馬乗りになった状態を指します。 マウントポジションは、上の選手にとって非常に有利なポジションとされており、これが人間関係において優位に立つことを意味する「マウントをとる」へと派生したと考えられています。
マウントをとるの由来
マウントをとるの由来は、いわゆるオタク界隈で用いられるネットスラングにあります。ただ、現在ではネット上の一部の人たちに限った流行り言葉というイメージは薄れ、様々な人が使うSNS、果ては日常生活の中でも普通に使われるようになりました。
マウントをとるの言い換え
マウントをとるの言い換えとしては、「見下す」「言い負かす」などが挙げられます。とはいえ、「マウントをとる」という言葉からはどうにも弱いイメージが拭いされません。 以下で取り上げるマウントをとる人の特徴や心理を踏まえれば、「虚勢を張る」「見栄を張る」などといった方が、言い換えとして妥当かもしれません。
マウントをとる人の特徴
マウントをとる人には、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。もしかしたらあなたも自覚がないだけで、周りからマウントをとる人だとウワサされているかもしれません。当てはまる特徴がないか、日頃の自分を振り返ってみましょう。
特徴1:自己中心的
マウントをとる人の特徴として、自己中心的であることが挙げられます。基本自分本位で行動しがちであるため、こちらが集中しなければならない場面でもマウンティング目的のちょっかいを出して、あなたの作業を妨害します。 ミシガン州立大学の実験によって、人間の集中力は僅か2.8秒の妨害によって“崩壊”することがわかっています。
具体的に言えば、崩壊後の作業効率は半分以下に下がります。 つまり、1時間ガッツリ集中して取り組めば終わったはずの内容が、ちょくちょく妨害を受けることで2時間にも3時間にもなるのです。もし、あなたが中々仕事を終えられず残業続きの日々を送っているのだとしたら、それはマウントをとる人が一因かもしれません。
特徴2:他人の成果にあやかろうとする
マウントをとる人の特徴として、他人の成果にあやかろうとすることが挙げられます。言わずもがな、マウントをとる人は基本自分の能力が高くありません。だからこそ、他人の出した成果に便乗することで、自分の価値を高めようとします。 たとえるなら、「あのプロジェクト、オレ関わってたんだよね」という発言です。具体的にどういうチームに所属していたのか、そこでどういう役割を任され、どう結果に貢献したのかは決して語らないのです。
特徴3:難解なビジネス用語を多用する
マウントをとる人の特徴として、難解なビジネス用語を多用することが挙げられます。言うまでもないかもしれませんが、真に頭の良い人の話し方は、常に聞き手の立場や理解力に配慮した、簡潔でわかりやすいものです。 職場で専門用語が必要とされる状況はもちろんありますが、基本マウントをとる人はそんな状況などお構いなしです。
これといって必要性のない状況でも、優秀な自分を演出するツールとしてそれを多用します。 ビジネスシーンにおいて、たとえ虚勢でも利口に見せることはときとして重要ですが、上記のようにマウントをとる人はその使い分けができません。また、難解な用語を使うことで、いざ痛い所を突かれたとき煙に巻くことができると考えているのかもしれません。
特徴4:高価なブランド物を身につけたがる
マウントをとる人の特徴として、高価なブランド品を身に着けたがることが挙げられます。機能と価値を見定めたうえでブランド品を選ぶのであれば、それは賢い買い物と言えますが、マウントをとる人の多くはそれらを理解しないまま、手を出してしまいます。
「高価な物をやたら欲しがる。ただし、その機能性と価値はわかっていない」というのは、ナルシストにも見られる特徴です。 マウントをとる人は、自分の価値を周囲にアピールする上で、ブランド品が最も便利であることを知っています。実際、ブランド品を身に着けている人は周囲から好印象を持たれやすいことが、研究によってわかっています。
とはいえ、それは実際に会ったこともないか、面識の薄い相手に限った話です。つまりは第一印象に過ぎません。長期的な関係の中でやたらとブランド品を誇示するのは、見当違いというものです。
特徴5:いざ指摘を受けると感情的に反論しがち
マウントをとる人の特徴として、いざ指摘を受けると感情的に反論しがちであることが挙げられます。基本マウントをとっている時点で中身が伴っていないことは明らかなので、冷静に見るとマウントをとる人は指摘されたら困る箇所がたくさんあります。
だからといって、指摘の仕方を誤れば、感情的に反論してくることでしょう。その内容がある程度論理的ならまだしも、ひたすらに人格否定であった場合、良かれと思って指摘した側が精神的なダメージを負ってしまうケースも考えられます。
人格否定は結局のところ、「その指摘を論理では崩せません」という思いから振る白旗のようなものです。相手が感情的な反応に走ったら、「もう他に打つ手がないんだろうなぁ」と堂々と構えていましょう。
マウントをとる人の心理
小さなものから大きなものまで、何かとトラブルを呼び込むマウントをとる人ですが、その背景にはどのような心理が隠れているのでしょう。あなたがマウントをとる人でなかったとしても、共感できる心理がそこにあるのではないでしょうか。
心理1:失敗を恐れている
マウントをとる人の心理として、失敗を恐れていることが挙げられます。挑戦には失敗がつきものだからです。誰の目にも明らかな失敗をしてしまえば、もうマウントをとることができません。 そういう意味で、マウントをとる人は断固として挑戦するわけにはいかないのです。
最も大半の人はそれを正当化し、失敗を犯したことのない自分を演出します。そして、挑戦に失敗した人を嘲笑うのです。 「自分は仕事で何一つ失敗したことがない」という主張は、「自分は仕事で何一つ挑戦したことがない、失敗しないくらい簡単な内容のものしかやったことがない」と告白していることと同義なのです。
心理2:人に認められたい
マウントをとる人の心理として、人に認められたいと思っていることが挙げられます。自分に誇れる中身がないと、心のどこかで思っているからこそ、彼らは称賛を欲するのです。 高価なブランド品を過度に追い求めるあたりから、特にこの心理が窺えます。高価なアクセサリーは、一目でわかるアピールポイントです。
内面での勝負の仕方がわからない以上、マウントをとる人は目で見える要素で勝負するしかありません。 ごく単純な話、他人に親切に振る舞うだけでも一目置かれるきっかけになり得る事実を彼らは理解できていないのです。そこさえ理解することができれば、ただただ認められたいという寂しさから脱げ出せるかもしれません。
心理3:自分が周囲より上であると信じ込みたい
マウントをとる人の心理として、自分が周囲より上だと信じ込みたいと思っていることが挙げられます。周りから凄いと思われたいのはもちろんのこと、何より自分自身が自分は優れていると信じていたいのです。 SNSで芸能人のスキャンダルや成功者の失敗を叩く人に同様の傾向が見られます。
自分より高みにある人たちの失敗や汚点を指摘することで、自分がその人達より高みにいるような感覚を覚えるのです。 言うまでもありませんが、叩いている当事者のポジションには何の変化もありません。泥の中にいる存在が、うっかり怪我をして木で休まざるを得なくなった鳥を嘲笑ったところで、泥の中にいる現実に変わりはないのです。
マウントをとる人に対処する方法
マウントをとる人と直面したとき、私たちはどのような対処法をとれば良いのでしょう?「無視するのが一番じゃない?」と口で言うのは簡単なものの、実践に移すとなればさてどこまでスルーしていいものやら悩みどころです。 やり方を誤れば、それこそ感情的な反論に付き合わなければなりません。人間関係を無駄にギスギスさせない、賢い対象法について解説します。
対処方法1:はっきりと嫌と伝える
マウントをとる人に対処する方法として、はっきりと嫌と伝えることが挙げられます。マウントをとる人は、基本他人に対する意識レベルが低い傾向にあります。あなたが「本当は嫌がってますよ」というサインを出しても、気付いてもらえない可能性の方が高いのです。
こうなると口頭ではっきりと述べるしかありません。とはいえ、このはっきりとは感情を露わにすることではありません。もし、改善の見込みが望める相手であれば、きちんとした話し合いの場を設けましょう。 人間の感情は環境要因によって左右されます。天候、時間帯、食前か食後か、手元にある飲み物など、お互いにとって落ち着いて話し合える環境を選びましょう。
対処方法2:第三者の意見を仰ぐ
マウントをとる人に対処する方法として、第三者の意見を仰ぐことが挙げられます。ここで重要なのは、いざあなたがそのマウントをとる人について相談した場合、相手が「そんな悪い印象ないけどなぁ」と答える可能性があることです。 要するにあなたの「この人はマウントをとる人だ」というバイアスが、その人の発言全てを歪めてしまっている可能性があるのです。
そういう意味でも、周りから当人がどう見られているのかは、一度確認しておいた方が良いでしょう。 先に触れたように話し合いの機会を設ける場合、単独で行うことに不安を抱くのであれば、第三者の参加も依頼しておくと良いでしょう。他人の目があれば、お互い冷静になって話を進めることができるはずです。
対処方法3:無視をする
マウントをとる人に対処する方法として、無視をすることが挙げられます。3つある対処法の中で、もっともおすすめする方法です。とはいえ、ここで言う無視とは幼稚な仲間外れのことではありません。 対処法としての無視に必要なのは、感情の処理能力です。要するにあなたはマウントをとる人そのものではなく、マウントをとられたことによって起こるネガティブな感情を無視する能力を学ばなければならないのです。
こういう言うと、感情そのものを根性や気合で押し殺そうと頑張る人たちがいますが、感情のコントロールとはそういうことではありません。「ああ、今自分は怒っているんだな」と一歩引いた視点から自分に起きた感情を見つめられるようになる、そういう視点を育むことです。
自己コントロール能力は、運動と瞑想の習慣化によって鍛えることができます。感情が起きること自体は誰にも止められません。しかし、起きたそれを処理することはできると覚えておきましょう。
マウントをとる人に仕返ししたいと思ってしまうあなたへ
マウントをとる人への対処法として、最もお互いのためになるのは関係を断つことです。とはいえ、当事者が職場の同僚や上司であれば、断つにしても限度があります。事実どこへ就職したところで、そういった人は一定数いるものです。 そういう意味でもやはりおすすめなのは、マウントをとる人と接したことで感じたことを上手く処理するスキルでしょう。す
でに多くの方が身をもって痛感していることでしょうが、人はイライラを覚えると全てのパフォーマンスが低下します。 マウントをとる人のせいで、本当にやりたいことに注ぐ時間と労力が奪われてしまうなんて、もったいないとは思いませんか。
仕返しも同様です。苛立ちを覚えたからといって、どうやって仕返ししてやろうなどという思考に時間を割くのは、あまりにももったいなさ過ぎます。どれだけお金を出したところで、時間を買うことはできないのですから。 自己コントロール能力はあらゆる場面で役立ちます。
「マウントをとる人と付き合うためにテクニックを身につけるだなんて…」とは考えず、むしろ周りにマウントをとる人がいる状況を、自己コントロール能力を鍛える絶好の機会と捉えるのもアリではないでしょうか。
コメント