家賃の5〜6ヶ月分のお金がかかると言われる引越し料金。
引越し先によっては家具を新調したりするなど、引越しには何かとお金がかかるもの。
一般的に引越し費用は、新居までの移動距離、荷物の量、そして引越しする時期によって決まってきますが、このうち、移動距離は変えることができないものの、引越しの時期に関しては比較的フレキシブルに調整できるのではないでしょうか?
そこで今回は引越し料金を抑えて賢く引越しできる時期をご紹介します。
引越し費用の相場と内訳。思ったよりも高額になりがち
引越しには様々な費用がかかるもの。
実際に引越しする場合、必要になる費用は主に以下の3つになります。
- 引越し業者に対する支払い
- 今住んでいる物件の退去にかかる費用
- 新居に入居するための費用
それぞれ順番に説明していきます。
引越し業者に対する支払い
主に引越し業者に支払う必要があるのは以下の2つです。
- 移動にかかる人件費
- 養生や梱包資材の料金
詳しくは後述しますが、引越し業者に対する依頼費用は季節によって費用が大きく変動します。
梱包資材は無料サービスの業者もあるものの、枚数ごとに支払いが必要な業者もあるため、比較検討する必要があります。
今住んでいる物件の退去にかかる費用
現在住んでいる物件が賃貸物件の場合は、退去する際に壁紙の剥がれや設備など原状復帰を求められるケースがほとんどです。
基本的には入居時に支払った敷金の金額内で原状回復が行われますが、敷金でまかないきれない修繕費やハウスクリーニング代については別途料金を請求されるケースがあります。
また、これは直接的に退去にかかる費用ではないものの、退去日と入居日のタイミングが合わず、現在の物件に入居中に新居に引越す場合、2部屋分の家賃が発生する期間があることも頭に入れておきましょう。
新居に入居するための費用
新居に入居する際には主に以下の費用が必要になってきます。
- 1ヶ月分の家賃(+共益費)
- 日割り家賃
- 敷金
- 礼金
- 不動産会社に対する仲介料の支払い
- 火災保険
- 鍵の交換代
こうした費用に加えて、新居で部屋の数が増えることや窓の形状が変わる場合はカーテンや照明など家具を新調する必要がある場合も考慮しておいた方が良いでしょう。
一人暮らしの場合、夫婦やカップルの場合、そして子どものいるファミリーの場合とそれぞれ引越しに必要な費用を見ていきましょう。
尚、紹介する引越し費用の概算は、退去日と入居日が同日で、なおかつ家具や家電などを新調しないことを前提とした「最低限必要な費用」なので、これから実家を出て初めて一人暮らしをする人や、家具の購入が必要な人はこれらの費用に合わせて予算を組んでいく必要があります。
一人暮らしの場合
東京都の1R〜1DKの平均家賃相場7.8万円、市内(区内)での引越しを想定した場合は以下のようになります。
(仲介手数料、敷金、礼金は家賃の1ヶ月分とした場合)
- 前家賃:7.8万円
- 仲介手数料:7.8万円
- 敷金:7.8万円
- 礼金:7.8万円
- 火災保険料:1.5万円
- 鍵の交換代:1万円
- 引越し料金:4.3万円
- 合計:41.5万円
夫婦やカップルの場合
東京都の1LDK〜2DKの平均家賃相場11.1万円、市内(区内)での引越しを想定した場合は以下のようになります。
(仲介手数料、敷金、礼金は家賃の1ヶ月分とした場合)
- 前家賃:11.1万円
- 仲介手数料:11.1万円
- 敷金:11.1万円
- 礼金:11.1万円
- 火災保険料:1.5万円
- 鍵の交換代:1万円
- 引越し料金:6.6万円
- 合計:53.5万円
子どものいるファミリー(4人家族の場合)
東京都の2DK〜3LDKの平均家賃相場12万円、市内(区内)での引越しを想定した場合は以下のようになります。
(仲介手数料、敷金、礼金は家賃の1ヶ月分とした場合)
- 前家賃:12万円
- 仲介手数料:12万円
- 敷金:12万円
- 礼金:12万円
- 火災保険料:1.5万円
- 鍵の交換代:1万円
- 引越し料金:9.1万円
- 合計:59.6万円
ここで注意が必要なのが敷金です。ここでは敷金を1ヶ月と仮定して概算を出しましたが、高額物件の場合には敷金が1ヶ月ではなく2ヶ月〜のケースが少なくなく、修繕費も高くなる傾向にあるため、事前に確認が必要です。
時期によって家賃が違う?
引越しシーズンは「オンシーズン」と 「オフシーズン」の二つに分けられます。
一般的に、進学や就職などで引越しをする人が多い12月から4月までの時期はオンシーズンと呼ばれています。
AO入試などで早く進学先が決まった学生は12月下旬ごろから、一般入試の学生は合格の1〜2ヶ月前から新居探しを始め、就職が決まった新社会人や転勤が決まった社会人も一斉に新居を探し始めることから。1月から春先にかけての時期は不動産業界にとってオンシーズンです。
オンシーズンである1月〜4月は家賃を下げなくても、入居希望者が集まるため大家さんは家賃交渉には応じてくれないかもしれませんが、実はオンシーズンを過ぎると家賃が安くなることもあるのです。
賃貸物件は8月が安い
オンシーズンは4月上旬には終わりを迎え、4月中旬ごろになると引越しピークが過ぎ去り、いわゆる「オフシーズン」と呼ばれる時期になります。
学生や社会人の引越し需要が落ち着くと、空室がある物件の大家さんは空室を早く埋めようと少し家賃を下げてから募集をかけ直すことがあるのです。
特に8月は本格的な夏の暑さで引越しを計画する人が減り、企業の異動や転勤などもあまり行われないため、この時期に空室の部屋は次のオンシーズンまで空室になるリスクが高いことから、多少の家賃交渉やフリーレントの交渉が比較的行いやすい時期でもあるのです。
時期によって引越し業社の費用も変わる
家賃やフリーレントの交渉が比較的行いやすいオフシーズン。とは言え、過度な家賃の値下げは既存の入居者からのクレームの原因にもなるため、大家さんとして大幅な値下げをすることはできないのが実情です。
しかし、引越し業者の費用はオンシーズンとオフシーズンで大きく変動するのです。
引越し業者のオンシーズンとオフシーズンを比較すると、同じ引越し条件の場合、料金に2倍以上もの違いが出てくることも珍しくありません。
実際、単身者の場合、オフシーズンの引越し料金は3〜4万円が相場のところ、オンシーズンには6〜10万円まで価格が高騰することもあります。
引越し業社のオフシーズン(5月〜2月)は安い
一般的に5月〜2月が引越し業者のオフシーズンと呼ばれており、最も安いのが10月と言われています。
そのため、不動産業界のオフシーズンを考慮すれば、夏から秋口にかけての引越しが最もお得であることが分かります。
同じ週でも曜日によって費用が違う?
平日と土日で引越し料金を比較すると、休日の方が割高になってしまうイメージがあります。
しかし、単身・ファミリーを問わず、同都道府県内程度の引越しであれば平日と土日で料金に大きな差はありません。
実際、一人暮らしの方の引越しの場合、平日に引越しする場合と土日に引越しする場合とでは、差額は数百円から数千円程度に収まります。
県をまたぐ「祝日」の引越しには注意!
同都道府県内程度の移動距離であれば平日と土日で料金に大きな開きは見られなかったものの、県をまたぐ引越しを「祝日」に行う場合には注意が必要です。
これは一人暮らしやファミリー世帯を問わず当てはまる傾向で、県をまたぐ祝日の引越しは、平日・土日と比較して20%近く引越し費用が割高になる傾向があるためです。
理由として挙げられるのが「祝日の連休を利用してスケジュールに余裕を持って引越しをしたい」と考える人が大勢いるからです。
そのため、県外への引越しを安く済ませたい場合には、引越し業社に平日に引越し作業をしたい旨を伝え、比較検討してみるといいでしょう。
県をまたぐ引越しを5月、8月、9月に行う場合は要注意!
県をまたぐ祝日の引越しは割高になる傾向がありますが、中でも注意が必要なのが5月、8月、9月。
これらの月の祝日はファミリー世帯の引越し料金の見積もりが跳ね上がる傾向にあるからです。
5月にはゴールデンウィーク、8月はお盆休み、9月はシルバーウィークと大型連休がある月はファミリー世帯の引越し需要が増すため割高になってしまうのです。
ファミリー世帯は一人暮らしとは異なり、荷造りや不用品の廃棄の手配に時間がかかり、それに加えて長距離の移動となるとスケジュールに余裕を持たせたいと考える家庭が多いため、こうした大型連休を利用した引越し需要は根強いと言われています。
縁起のいい日は引越し料金が高くなる!?
カレンダーを見ると、日付の下に「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」と書かれていると思います。
これは日本では暦の中でももっとも有名な暦注の一つで、「結婚式は大安に行うのが良い」「葬式は友引を避けた方が良い」など、主に冠婚葬祭などの儀式と結び付けて使用されることが多いです。
実は引越しの際にもこうした暦注を気にする方が少なくなく、昔から縁起が良いとされる「大安」に引越しを希望される方もいるようです。
実際、大手引越し業者の日別の割引カレンダーを見てみると、大安の日は割引率が低い傾向にあります。
もし暦注を気にしないのであれば、大安を避けて引越しの日取りを決めることで引越し料金を安く抑えることができるでしょう。
いよいよ引越し!費用を抑えるためのTIPS
引越しの見積もりには「訪問見積もり」と「一括見積もり」の2種類が存在します。
訪問見積もりとは、依頼する引越し業社に自宅を訪問してもらい、実際に運搬する荷物などを確認してもらいながら見積もりを出す方法です。
熟練スタッフが見積もりを行うため、見積もりと実際に支払う金額のギャップが小さくなる利点があります。
一方の一括見積もりとは、ウェブ上で持っている家具の種類や数、現在のお住まいの物件や新居に関する情報を入力するだけで、複数の引越し業社に対して同時に見積もり依頼をすることができるというもの。
効率的なのは後者の「一括見積もり」です。
一括見積もりで複数業社から見積もりを出してもらい、その中から最も安い業者に訪問見積もりを依頼するとスムーズでしょう。
オフシーズンに引越しをする際の注意!
家賃の割引やフリーレントの交渉が比較的容易になり、さらに引越し業者の料金相場もピーク時の半分近くになる、オフシーズンの引越し。
料金がお得になる一方で、注意しなければならない点もいくつかあります。
そもそも選べる物件が少ない
新大学生や新社会人による引越し需要が高まるオンシーズンは、入居希望者も多いですが、それと同じだけ退去希望者も多い時期です。
新生活に向けて賃貸物件を退去する人が多いため、賃貸市場に出回る物件の数が非常に多く、選択肢が増えるのもオンシーズンの特徴です。
これは言い換えれば、オフシーズンは物件の入居・退去希望者がオンシーズンと比較して少なく、賃貸市場に出回る物件の数が少ないことを意味します。
そのため、オフシーズンのお部屋探しは「気に入った部屋がない」というケースも少なくありません。
とは言え、オフシーズンだからと言って物件が全くないわけではないので、賃貸仲介サービスを利用するなどして根気強くお部屋さがしを行えば希望条件に合うお部屋を見つけることはできるはずです。
各種キャンペーンなどが利用できない
春先になると家電量販店や家具店などで、「春の新生活応援キャンペーン」などが行われ、家電や家具をお得なセット料金で購入できたり、セールが実施されることがあります。
しかし、引越しのオフシーズンにはこうしたお得なキャンペーンを利用することができません。
オンシーズンに引越しをしていれば安く購入できたかもしれない家電や家具の購入費が、オフシーズンには割高になってしまうケースもあります。
引越しと同時に家具や家電の買い替えを検討している方は、購入する時期をずらすなど工夫が必要になってきます。
梅雨時や台風シーズンには注意を
オフシーズンである5月〜8月は天候が不安定な時期でもあります。
6月には梅雨入りし、7月以降は台風シーズンに突入するため、引越しの日取りは天気予報などもしっかりと確認する必要があります。
まとめ
引越しの料金は、シーズン、スケジュール、世帯属性などによってお得に引っ越せる時期がそれぞれ異なります。
ご自身の属性に合わせて、オフシーズンのメリットを享受しつつ、オフシーズンのデメリットを補えるよう、ベストな引越しプランを考えて見てください。