「務める」の意味や使い方|「努める/勤める」との違い【例文付き】

「つとめる」という言葉を使う時「務める」と「努める/勤める」どれが正しいのか悩む人は少なくありません。

漢字の使い方や違い、使い分け方を知っておけばいざという時に困らずにすみます。ここでは、「務める」と「努める/勤める」の意味や類語を例文と共に紹介します。

この記事の目次

「務める」の意味

「つとめる」という言葉はそれぞれどの漢字を当てれば良いのか混同しやすい言葉です。意味を知っていれば、メールや手紙などに書くときに迷わずにすみます。ここでは「務める」の意味を紹介します。

役割・任務を果たす

「務める」は「与えられた役割や任務を果たす」という意味の言葉です。引き受けた任務や自分に与えられた役目のために努力するときに使用できます。単に「与えられた役割・任務に当たる」という意味で使われることもあります。

「努力する」という言葉の派生語

「務める」と「努める/勤める」はどの言葉も語源は同じで、「努力する」という意味から派生した表現になります。意味が似ているため、使い分け方に迷ったり違いが分からなかったりする場合があるのです。

「務」という漢字の意味

「務める」は「努力する」という意味からの派生語ですが、「務」という漢字は仕事そのものを意味する場合もあります。例えば、「医務」は医療の仕事を意味し、「急務」は急いで行わなければいけない仕事を意味します。

「務める」の使い方

「務める」は、特にビジネスシーンで多く使われる言葉です。どのような使い方ができるのかを知り、日常生活で違和感なく使えるようにしましょう。ここでは、「務める」の使い方を紹介します。

「務める」という漢字が使われている言葉

「任務」「義務」「職務」「業務」「責務」などのように、「務める」の「務」という漢字が使われている言葉はたくさんあります。このような言葉は、自分が与えられた役目を表現する時に使うのが正しい使い方です。

ビジネスシーンでの使い方

何かの役割を上司から与えられた時、「その役割をやらせていただきます」という気持ちを表明するために「務める」という言葉を使うことができます。「リーダーを務めさせていただきます」などが主な使い方です。

敬語表現としての「務める」の使い方

「務めさせていただきます」や「務めます」などが「務める」を敬語にした時の正しい表現です。自分以外の人に対して使用する場合は、「お勤めになっている」という言い方ができます。

「務める」の例文

ここでは、「務める」の例文を対象別、場面別に紹介します。使う相手や、その時の状況に合わせた正しい使い方ができるように注意しましょう。

「務める」の例文【対象別】

使う相手に合わせた「務める」を使った例文を紹介します。

上司に使う場合

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センター長として務めさせていただきます。
◯◯さんはCEOを現役でお務めになっています。
今回の司会役は彼が務めます。

「務める」を「頑張って役割を果たす」という意味で使うときは、「努める」と混同しないように注意しましょう。単に「役目を果たす」という意味なら「務める」、「努力する」という意味なら「努める」が正しい漢字です。

役割に対して使う場合

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今回の映画で主役を務めさせていただきます。
彼はあの映画で主役を務めている。
彼の話し相手を務めるのは骨が折れる。

上記の例文では「◯◯をしている」ということを伝えるときに「務める」という表現を使っています。自分や他人がある役割を担っている時に、「務める」を使った表現ができます。

「仕事」という意味で使う場合

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務めを終えて帰ってきました。
社長としての務めを果たさなければならない。
それが消防士としての務めなんだよ。

「仕事」を「務め」と言い換えて表現することができます。「働く」という意味を持つ「勤める」と似ているので使うときは間違えないように注意が必要です。

「務める」の例文【場面別】

場面別の「務める」を使った例文を紹介します。

自己紹介の場面

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今回の議長を務めさせていただきます、◯◯と申します。
それでは、結婚式の司会を務めさせていただきます。
案内人を務める、◯◯です。

「司会をします」「議長をします」など、会議や結婚式で自己紹介するときも「務める」という言葉が使えます。「司会をさせていただきます」でも間違いではありませんが、「司会を務めさせていただきます」の方がかしこまった場ではふさわしい表現です。

その他の場面

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主婦としての務めを果たす。
◯◯学校野球部の三代目キャプテンを務める。
落語をひとつ、務めさせていただきます。

「務める」という言葉は、様々な場面で使うことができます。「役目」「任務」という意味だけでなく、「◯◯をする」という意味でも「務める」は使用できます。上記の例文の「落語をひとつ、務めさせていただきます」などがその例です。

「務める」と「努める/勤める」の違いや使い分け

間違いやすい「務める」と「努める/勤める」の違いや使い分けについて紹介します。「努める」と「勤める」の意味を理解し、「務める」とはどんな使い分けができるのかを覚えると混同する危険が減ります。

「努める」と「勤める」の意味

「努める」は「努力すること、力を尽くすこと」、「勤める」は「職について働くこと」という意味です。どれも努力するという意味が含まれていますが、「努める」は「力をつくすこと」、「勤める」は「毎日仕事をする・働く」という違いがあります。

「努める」の使い方・類語・例文

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日夜、看病に努める。
誠心誠意、努めさせていただきます。
泣くまいと努める。

「努める」は「サービス向上に努める」「信頼回復に努める」などの使い方ができます。精進する、励む、頑張る、善処するなどが類語です。

「勤める」の使い方・類語・例文

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彼は官公庁に勤めるエリートだ。
定年まで勤める。
私の夢は、デザイン会社に勤めることです。

「勤める」は「会社に勤める」「刑期を勤める」などの使い方ができます。勤務する、使える、働く、奉仕するなどが類語です。

「務める」と「努める/勤める」の違い

「務める」と「努める/勤める」の意味の違いを表で紹介します。
 

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言葉意味
務める任務を果たす
努める努力する
勤める勤務する

「務める」と「勤める」の違い

「務める」と「勤める」はどちらも仕事に関わる意味を持っているため、混同しやすくなっています。仕事の中でも、役割のことを指すのが「務める」で、職のことを指すのが「勤める」というふうに覚えるのが良いでしょう。

「務める」と「努める/勤める」の使い分け方

「務める」と「努める/勤める」の使い分け方を表で紹介します。
 

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引き受けた任務を果たすとき・・・務める
力の限り努力するとき   ・・・努める
職について働くとき    ・・・勤める

混同しないためのポイント

どの「つとめる」が正しいのかわからなくなったときは、「努力」「勤務」「任務」の3つのうちどのことを言いたいのかを考えるとわかりやすくなります。

「務める」の類語

「務める」の類語について紹介します。「努める/勤める」の他にも「勉める」という漢字を当てた表現があります。「務める」との違いや使い分け方を覚えておきましょう。

「務める」と「勉める」

「勉める」も「努力する」という意味の類語です。「務める」よりも「努める」と似た意味の表現になります。「務める」は「役目を果たすこと」、「勉める」は「力を尽くして頑張る」という意味の違いがあるということを覚えておくと間違わずにすみます。

「勉める」の例文

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新しい仕事に勉める。
早く帰れるように勉めている。
勉めて受験勉強をしている。

「励んでいる」「努力している」という言葉の言い換えとしても「勉める」は使えます。

「努める」と「勉める」の使い分け

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努める・・・(ネガティブな意味の)努力する
勉める・・・(ポジティブな意味の)努力する

「勉める」は「努める」の常用外漢字になります。そのため意味はほぼ同じですが、「勉める」の方がポジティブな意味を持っています。ただし、この使い分けはあくまで昔のことで今ではこの2つの間に大きな意味の違いはありません。「どちらも力の限り頑張る」という意味です。

目的・役割を果たす意味の類語

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演じる、機能する、入れ込む、受け持つ、歴任する、使命とする、実行する、従事する、挑む、任される

基本的には「努力する」という意味ですが、「役目を果たす」という意味を持つものが類語となります。

「つとめる」の使い分けを覚えよう

ビジネスメールを送る時などは特に、「つとめる」にどの漢字を使えば良いのかわからなくなる場合があります。「務める」は役目を果たす、「努める」は努力する、「勤める」は勤務する、というように、言葉の違いを覚えてしっかり使い分けできるように気をつけましょう。

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